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【風を読む】論説委員・松村雅之 理解しがたい異例会見(産経新聞)

 警視庁公安部長の会見には、驚かされた。国松孝次警察庁長官(当時)狙撃事件の時効が成立したことを受けての記者会見である。

 公安部長は、異例の「捜査結果概要」を公表し、事件は「オウム真理教の計画的で組織的なテロである」と言い切った。

 概要の中で、犯行は教団信者だった警視庁元巡査長ら8人を犯行に関与したグループとして、事件当時の8人の詳細な行動経過などを明らかにした。

 ところが、これらはいずれも伝聞情報にすぎず、決定的な有力証拠に欠け、犯行を裏付ける供述もない。これでは、とても起訴できないことは明白である。オウム真理教の信者による犯行といっても、推測にすぎない。

 公安部長の会見を聞いていると、そこまでいうなら、なぜ逮捕し、裁判に持ち込まなかったのか。捜査が失敗に終わった悔しさだけがにじみ出ていた。

 裁判で有罪になるまでは、誰しも「推定無罪」という大原則がある。これを無視して、オウムの犯行と断定したのは、常識を逸脱している。警察庁や検察当局は、事前に警視庁がこのような内容の会見を開くことを了承していたのか。

 全国の警察を管理する国家公安委員会の中井洽委員長は、「かつてない発言で、(捜査が不調に終わり)悔しさがにじみ出ている。捜査の反省から、異例の発表になったと思う」と、理解を示したのも、うなずけない。

 警視庁としては、事件を立件できなかったことを率直に認め、謝罪の会見を行った方が、国民は潔いとの感想を持っただろう。

 これでは、捜査の失態を棚にあげておきながら、言い訳がましいと感じた人が多く、逆効果となった。               

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